ついに発売しました
絵本『氷上カーニバル』(のら書店)
作家神沢利子先生の幼少期に観た景色があべ弘士さんのカラフルな色彩で蘇りました。
大正の終わりから昭和の始め頃まで札幌中島公園で実際に催されていた「氷上カーニバル」。
極寒の北国で少しでも楽しみを見つけて冬を乗り切る人々の知恵がそこにはありました。
今のようにインターネットもない時代にどのように情報を集めたのか、よその国の仮装を自らの手で作り思い思いの仮装でスケートを楽しむ。
そんな夢のようなイベントが実際にあったのです。
幼少期の神沢先生の語り口調が読んでいて心地よい。可愛らしい。
そしてあべ弘士さんの絵。
10年ほどやりたくて温めてきた肝いりの作品。その想いが爆発したような絵がずっと続きます。
あべさんといえば動物。
そんなイメージがありますが、いえいえ!
七色の色彩とたくさんの楽しさで溢れた人々。
画角に収まりきらない躍動感。
楽器の音やザワザワした人々の話し声が絵本から聞こえてきます。
装丁のこだわり。
表紙は、まだ設営されていない氷上カーニバルの現場。
北海道のキンと冷え切った朝霧。
朝霧のテクスチャのみあべさんに別で描いていただき、マットPPをベースに霧の流れをニス加工しました。
光に当たった時にギラっとするようにしたかった。
澄んだ空気の冷たさを感じていただけると嬉しいです
「スケートの跡にもみえる」とのご意見もいただきました。なるほど!
編集者さんには僕のわがままを調整してやりくりしていただいてとっても感謝です
とっても有能な方でしたのでこれが叶いました。
もう一つ表紙のこだわり。
店頭に並ぶ時は帯が付く。
買ったら捨てちゃう派?
とっておく派?
いずれにしても付いている。
なのでどちらの状態でも良くみえる事を意識しています。
今回は帯を氷の地平線として、帯が外れた後も表紙として整ったものになるよう心掛けました。
最終ページには絵本としてはどうなのかな?と自問自答しながら結局やったこと。
実際の氷上カーニバルの模様を納めた数少ない写真がありまして、それを載せました。
子どもたちがこの絵本を読み終える時、最後のページでファンタジーの中のリアルをドキっと感じてもらえたら意図するものになります
個人的にもとっても充実感のある作品となりました。
地元の書店でも陳列されていることを確認